【聽寫練習】ハゲタカ #2 - 資本の論理
<禿鷹>第二集
鷲津與芝野
芝野:鷲津
サンデーをどうするつもりだ
鷲津:我々は投資ファンドです
投資した以上利益を産んでもらわないと
芝野:同じ目を遭わせるつもりか
西乃屋旅館と
鷲津:そういう芝野さんはどうするつもりですか
芝野:我々はメーンバンクだ
もちろんサンデーを立て直す
鷲津:立て直す
銀行は金を貸すことしか知らないって
いつもおっしゃてましたよね
先輩
楽しみです
しがらみいっぱいの日本の銀行が何をできるのか
失礼します
※
芝野:鷲津
芝野:あれがお前のやり方か
札束でひっぱたいて
人の誇りを踏みにじるのはお前のやり方か
鷲津:何の話です
芝野:そのやり方で本当に会社は
再生すると思ってんのか
鷲津:だから何を言ってるんですか
私の目的は金
それだけです
芝野:西乃屋旅館もそういうことだったのか
体のいいこと言いながら
結局会社を安く買って高く売る
それだけだったのか
鷲津:そうです
それが?
芝野:それがだと?
人が一人死んでるんだぞ
なのにそれがだと?
鷲津:あなたが言ったんじゃないですか
七年前のあの日
私が貸し渋りをして
三島製作所の社長を追い詰めて
社長は自殺をした
泣いてる私に
あなたが言ったんじゃないですか
しょうがないだろう
日本は資本主義なんだからって
※
芝野:なんとも
やりきれないな
芝野:あんまり自分を責めるな
会社のためにやったことなんだ
芝野:借りたものは返してもらわないと
うちだって危ないんだ
芝野:酷な言い方だが
借りたものは返してもらうし
金がなければ
倒産するしかない
芝野:突き詰めれば
それが資本の論理だ
芝野:お前が悪いんじゃない
※
鷲津:あなたが言った資本の論理ってなんですか
きれいごと言っても
金がなくちゃ何も始まらないってことでしょう
そんな当たり前のことに
ようやく気付き始めたんですよ
この国も
鷲津:あの工場は
自動車メーカの下請けの下請けの下請け
部品を固定する特殊なねじを作っていました
ねじ一個の加工賃は七円五十銭
二人で二千個
それは八時間で作っていた
時給いくらです?
朝から晩まで
油まみれて働いても
その自動車メーカの車は買えないんですよ
鷲津:親会社に無理を言われて
工作機械を買うのに二百万もの金を借りて
その二百万が返せずに首を吊りました
鷲津:私はあの時
何とか親父さんを救おうとした
貸し渋りを命じた銀行を恨みました
けど銀行は当たり前のことをしたんです
鷲津:二百万
たった二百万の金が返せなかった
親父さんが弱かっただけだ
鷲津:それが世の中です
きれいも汚いもない
善意も悪意もない
二百万の金さえあれば
親父さんは死なずに済んだ
鷲津:そのことに気付かない私は愚かだったんだ
私はアメリカに渡り
徹底的に学びましたよ
芝野さんの資本の論理ってものを
金を持ってるものだけが正義だってことを
鷲津:私を変えてくれたのは
あなたですよ
芝野さん
鷲津:サンデーは金のなる木です
必ずうまい具合に料理させていただきます
西乃屋旅館と同じようにね
失礼します